心意気

 今日、ご門徒宅でお年忌を勤めた。勤行前にお内仏の前に座る参詣者の足下に注目すると、じつに面白い光景を目にすることとなる。ご年配の方であれば、足腰を痛めて正座が覚束ない、正座ができないということはよくあることだ。では、子どもさんはどうであろうか。横着ばかり覚えて、正座ができない子どもさんが増えているかと思いきや、案外そうでもないのだ。親御さんが正座をせずに座っており、その隣で「この場所では正座をしていないといけないのだろう」と感じていたのかはわかりませんが、びくりとも動かずに正座をしている姿がいじらしかった。「まだ、法事ははじまっていないから、足を崩しててもいいんだよ」と声をかけると「ほっとした顔」をして足を崩していた。それでも、読経がはじまったら正座をして、法話が終わるまで正座をしていた。法話の中で、「私の誕生日は9月1日です」といって話をしたら、帰り際に小学3年生の子どもさんが「僕の誕生日は9月9日だよ、僕と誕生日が近いね」と言われた。本当に誕生日が近いかは疑問だが、教えられることの多い法要であった。