ここちよい風が吹く中に

 彼岸を直前に控えて、本堂の花立てを行なった。身体に心地よい風があたり、本堂、庫裏、どこにおっても過ごしやすい日となってきた。そんな中、また、大切なご門徒さんが亡くなっていかれた。定斎に伺っていたお宅であり、亡くなられたお婆さんはお茶を飲みながら必ず〝ご院主さん、まぁ、このとしよりは先も長くないから、世話にならなあかんから、そん時はたのむよ〟と仰っておられ、私は〝まだ早いじゃないですか、いやですよ、おくってくれだなんて…〟と言葉を返しておりました。
 布団の上に寝ていらしたお顔から、生前にお世話になったことを思い出していた。