葬送の事情

 最近、直葬という言葉を耳にする。葬儀式を行なわずに、ごく身近な人だけが集まって簡単なお別れ会のようなことをした後に火葬するのだそうだ。形は様々で、納骨の後に知人へ知らせてほしい、直葬には大勢の人に集まってほしくないなどと考え方は多種多様。
 自分のために忙しいところを時間を割いて集まってほしくない。死んだ後まで迷惑をかけたくないといった考えを持った人が多いようだ。
 何か考え違いをしておられないか。確かに、仮に80歳以上の方が亡くなられた時、喪主は定年を過ぎて葬儀の場に集まる人は少人数かもしれない。葬儀の規模としてはごく少数だ。しかし、人数の多い、少ないによって葬儀式の内実が変わるわけではない。たんに亡くなられた方を弔うだけの葬儀式なのだろうか。「違うでしょ」私にとって身近な方が亡くなっていくことを「現象としての死」として捉えるだけではなく、亡き人から問いかけられている「いのちの尊厳」という一点を憶念せよという声を聞き取っていくことではないだろうか。明日は彼岸のお中日。お中日を前に大きな課題をいただいた。