ほのぼの

 今日はお昼からご引上。二軒めのお宅でのこと。お内仏には打敷も掛けられ、お供えも飾られている。5具足の荘厳で、花瓶と鶴亀の燭台が一対ずつ荘厳がなされている。ところが、蝋燭が白かった。白の和蝋燭であったために、私は
「お祖母さん、今日は報恩講さんですから、蝋燭の色は赤ですよ」と伝えた。すると、お祖母さん、
「ご院主さんが去年、蝋燭は白だよと言われたような気がしたもので…」と仰る。私の中では「そのようなことを言った覚えはないな」と思いながらも、
「それでは今日は白の和蝋燭を赤の蝋燭と見立てて勤めましょう」と申し上げると、お祖母さんは
「一本だけなら新しい赤い蝋燭があります」と仰る。「ご院主さんく、赤と白の蝋燭を一本ずつ使ってはいけませんか?」と尋ねるのです。
 私は、「………」するとお祖母さんが「阿弥陀さんがびっくりされますかね、紅白の蝋燭だと…」
私は、「びっくりされているかもしれませんが、今日のところは赤、白一本ずつ、紅白で勤めさせていただきましょう」とお祖母さんに話したことでした。
 それにしても、赤白一本ずつの紅白の蝋燭の灯りのもとで勤めたお講さん、お祖母さんの発想、言葉からとてもほのぼのとしたものを感じました。